石橋湛山という政治家

先週土曜日(2月24日)の第146回巣鴨行動で森田萌さんが行ったスピーチです。
———————————————————
スクリーンショット 2018-02-25 17.47.08.png
 
「いや驚いた、こういう政治家が日本にもいたんだね」
 
先週、この巣鴨駅頭で、いっしょにチラシを配ったり、署名をみなさんに呼びかけていたある仲間が言いました。
 
その政治家とは終戦直後から60年代にかけて、政治の世界で独自の輝きを放った石橋湛山という人物です。
 
彼は、NHKラジオの「声でつづる昭和人物史」という番組で石橋湛山の声を聴いたそうです。彼はまた、湛山の政治的ビジョンの視野の広さと先見性とを取り上げて、「是非一度聴いてみてよ」と強く奨めてくれ、メールで音声データを送ってくれました。
 
音声の主な内容は、1957年の元旦に放送された石橋湛山へのインタビューでした。インタビュアーは当時、憲法学の権威とされていた宮沢俊義東大教授で、このインタビューを素材に、司会役のアナウンサーが質問をし、評論家の保坂正康氏が独自の史観にもとづいて答えていくという構成になっていました。
 
石橋湛山という政治家は、自由民主党の第2代の総裁であり、第55代の内閣総理大臣ですが、総理就任後軽い脳梗塞で倒れた際に「私の政治的良心に従う」として、総理大臣就任後僅か 65日で辞職したという潔さで長く記憶されるであろう政治家です。
 
石橋の後任は、安倍晋三首相のおじいさんである岸信介でした。
 
この二人の歩みは、あらゆる点で正反対でした。早稲田大学卒業以来政治家になるまで、一貫して経済ジャーナリストであり、自らの信条である「小日本主義」にもとづいて、大政翼賛政治に警鐘を鳴らし、軍部を徹底的に批判し続けた石橋と、東京帝国大学から官界に進み、商工省では統制色のきわめて強い経済運営に辣腕を振るい、軍部からも一目置かれ、極東軍事裁判ではA級戦犯被疑者として3年間拘留された岸とでは、対米国、対中国政策はもちろんのこと、安全保障政策においてもまさしく水と油ほど違っていました。
 
総理の座を岸に譲ったことについて「歴史にIFは禁物だが」という前置きで「もし石橋湛山が首相を続けていたら」という発言をする人は、政界、財界、ジャーナリズムの世界にいまも多勢います。
 
それはさておき、NHKの放送で私が最初に聞き耳をたてたのはインタビューの冒頭に登場した「官尊民卑の斃」という言葉です。
 
「官尊民卑」とは、文字通り「官、つまり役人がエラくて、民間のわれわれがコケにされる世の中のあり方」のことですが、60年前もいまも「官尊民卑」の構造は、変わっていないのだな、と私は思いました。
 
その典型が、就任以来、逃げ回ること以外の仕事をしていない、佐川という国税庁長官です。
 
安倍首相は国税庁長官に佐川氏を選んだ理由について「適材適所」と開き直っていますが、ここでの適材とは国有地を不当に安く払い下げたスキャンダルから、官の親玉である首相を守るためには、平然と嘘がつけるという「適性」の適であり、納税者に対しては「適当に対処するという適で。適所とは、親玉を守った子分に用意される快適なポストの適です。
 
話は脱線しますが、昨日、宇部興産という大きな会社が、不適切な検査を行なっていたことが明るみに出ました。
 
公器たる上場会社による、財務データの改ざん、決算の粉飾、不正な品質検査の隠ぺいなどが毎日のように起っています。これって、たぶん民間がお役所の手口を学んでいるんですね。
 
いま「働き方改革」とやらの国会審議で明るみに出ている不適切なデータにもとづく総理の答弁、データ自体のねつ造が疑われる不可解な数字、これらはみんな民間の不心得な会社にとっては最高のお手本となっています。石橋湛山が生きていたらなんと言ったでしょうか?
 
先に触れた「小日本主義」について話します。
 
放送の中で湛山は「身の丈に合った国でいい」という考え方を述べています。ここには身の丈に合わない政治がもたらしリスクを鋭く見通した合理主義があります。
 
いまから99年前の1919年の3月1日に起った朝鮮の三・一運動に際して湛山は、東洋経済新報の主幹として他社の報道とはまったく反対の論陣を張りました。すなわちグローバルなスケールでこの運動をとらえ、新しい民族運動の一環であると主張したのです。
 
そして1921年には社説において、朝鮮、台湾、満州などの植民地と権益は長期的に見れば決して日本の国益にはならず、むしろ国際社会に於ける日本の地位をおとしめるものとして、その放棄を主張し、軍事力による膨張主義を批判し、平和な貿易によって国の成長をめざすことを力説しました。
 
安倍首相は「世界の中心で輝く日本」をつくりたいそうです。
 
駐日アメリカ軍のやりたいほうだいを放置して何が世界の中心ですか? ひたすらトランプ政権に追随する外交から世界の中心で輝くような光は生まれますか? 防衛予算の膨張ぶりは、とてもじゃないですが身の丈にあった規模とは言えません。北朝鮮のミサイルより私は財政の破綻の方が恐ろしいです。
 
そろそろ話をまとめます。
 
NHKの放送の中で石橋湛山は「憲法9条凍結論」を提唱しています。
 
それによると高い目標である戦争の放棄は、今すぐ実行できるような情勢ではない。だから機が熟するまで冷蔵庫に入れておくのが良い。時勢にそぐわないからと言って、うかつに理想を修正すると取り返しのつかないことになる」のだそうです。
 
この辺は私には、にわかに賛同することができません。ですが、仲間の言う通りでした。石橋湛山は合理主義にねざした明確なビジョンと、民主主義とその基盤となる言論の自由の重要性を、深く理解していた政治家でした。石橋湛山という政治家の存在を教えてくれた仲間にこの場を借りて感謝したいと思います。
 
分かっていただけると思いますが、石橋湛山とはまったく異なる岸信介という政治家にきわめて近い発想の持ち主である安倍首相に、私は憲法をいじくりまわしてほしくありません。
 
いま安倍内閣による憲法破壊に反対する署名活動を私たちは行なっています。
 
どうか足を止めていただき、みなさんの平和への願いをボールペンのペン先にこめてください。
カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中