週刊スガモ  2018年6月2日号

今週も何となく『週刊スガモ』でございます。最初のうちは署名してくれた人との会話が多かったのですが、次第に署名を渋る人を追いかけ回して話を聞く例が増えてきました。それが署名に繋がるケースは、さほど多くありません。 でも頭の隅に、何かを残してもらえれば嬉しいなと。

〈署名してくれた人との会話〉

★ 60 歳前後の男性

「憲法変えようなんて、まったく冗談じゃないよ」と言いながら署名してくれ る。
「何たって、公明党が悪い!」

公明党がいなければ自民党なんて……とブツブツ言いながら、交差点を渡っ て行った。
★ 20 代後半に見える女性

台湾の人で、日本に来て 4 年になるという。高橋さんがチラシを渡して話しかけたのだが、すぐそばに偶然私がいたものだからバトンタッチされてしまっ た(だんだん、OLDs 専属・お話聞き役になってきたふうである)。 安倍政権には疑問があるそうで、流麗な字で署名してもらった!
「日本の……えっと、社会の雰囲気、お国と比べてどんなふうに感じられま す?」

「日本、いいところがたくさんありますよ」と、まずは社交辞令から始まる。

「台湾はいろいろな意見があって、ワイワイしますから」
今ひとつよくわからないが、要するに政治関係を含めて社会問題全体につい て百家争鳴の状態であると言いたいようだ。

「なるほど。……でも、意見が言えるのはいいですよね。私は日本人って、少 しおとなしすぎるんじゃないかなーと思ったりします」

「そう……ですね。意見はハッキリ言えるのがいいですね」

 

そのほか、「憲法は変えなくていいと思うから」という人など。

〈署名をもらえなかった人との会話〉

★ 60 代後半~ 70 歳前後の男性
少し離れた所から横断幕を見ているので近寄っていくと、「どこの団体?」 と聞かれる。OLDs と言いまして……と簡単に説明するのを途中で遮り、

「安 倍改憲ノウって、どういうこと?」

「少なくとも安倍政権には憲法に手を触れて欲しくない、ということですが」

「どうして?」
うーん、何と答えるべきか。一瞬迷ったが、そろりと緩い球を投げてみる。

「安倍晋三さんという政治家を、どうしても信用できませんから。憲法の議論 は最低限、もう少し誠実な首相、誠実な内閣のモトでやって欲しいと私は思っ ています」
「信用できないって、どういうところが?」

あーあ。こういう言い方をしてくる人とは、コミュニケーションが成り立ちにくいのはわかっているんですけど……。やむを得ず公文書の改ざんとか、首相の答弁が常識的に見ておかしい、みたいなことを喋り始めてみたのですが。 これもまた途中で遮り、「それは言いがかりですよ」とピシャリ。
時々おられる類いの──「何言ってやがんだよぉ。バカ」「売国奴が」など と罵るような「浮かれ右翼」ではなく、終始冷静でニコヤカに笑みまで浮かべ ていたオジサンでありました。実のところ、それだけにゾッとしたのも事実。
★女子中学生(聞けば 2 年生だという)2 人組

仲間からチラシを受け取ったので、すかさず近づく。
「なーに、このバーサン。やめて〜。寄らないで〜」的な不安げな顔を見て「 署名してくれとは言わないから」と前置きし、なるべくニコヤカに「意見、聞 いてもいい?」と話しかける。
「ニュースとか、見るよね? 今の総理大臣のこととか、やっぱりいろいろ感じるんじゃない?」

「えーっと、えーっと」とひどく口籠もりながら、何かを言おうとする。

「え ーっと。あのぅ。おかしいって。残業代払わないとか、そういう法律」

「高度プロフェッショナル制度?」
この用語はわからないらしく、2 人で顔を見合わせて、ますます不安そうな 表情になる。

「あ、言葉はどうでもいいけどね。その法律について、感じることがあるん だ?」
「学校で……先生が言ってた」 わぁ。(ちょこっと触れただけだとしても)立派な先生である。
「そっかぁ。おうちでは、お父さんお母さんから聞いたりすることある?」

この問いかけには、二人とも首を横に振った。「家ではそういう話、しません」
ほんとは家庭の中で「ごく普通の話題」にして欲しいんだけどな……。 二人には、「その先生、いい先生だよ」と言っておく。

「あなたたちが社会に出るのは、まだまだ先だけどね。でも、今からいろんなこと知っておくのは 大切だと思うからね。わからないことがあったら先生に聞いたりして、自分で 考えようね」
ハイ、と素直に頷いてもらった。「年寄りは大切にしませう」感覚で適当に頷いてくれたのかも知れないが、それでもやはり嬉しい。私は単純な人間であ ったようだ。
★ 40 代ぐらいに見える女性
「私、安倍さん好きなの」
「はぁぁぁ?」

「私の親が安倍総理のお父さん、好きだったの」

「あ……安倍晋太郎さん」 「その息子だから支持するって。だから私も安倍さん支持する」
あのぅ……晋太郎氏と晋三氏は、かなり違うんですけど……と言おうとして、 ちょっとメゲた。いい年して、「親がいいというから私も」なんてのも変だろうとか、いろいろ言いたいことはあったけれども。その言葉を封じられた感覚 の中で、私は茫然と立ち尽くした……。
★70 代ぐらいの女性
署名は拒絶。「安倍サン? あんまり好きじゃないけどね」と言いながらも、「仕方ないんじゃないの」と悟ったふう。

「誰でも、上に行けば行くほど悪口を言われるものよね。安倍サン以外の人が 総理大臣になれば、その時はその時でまたいろいろ言われるでしょうしね」
「誰が総理になっても同じよ、と薄く笑う」
これをニヒリズムと言うべきか。私はニヒリズムを否定しない(むしろ、か なり親和性も感じている)のだけれど、ニヒリズムは本来、「神を殺せ」と叫 び、無明の闇を引き受ける思想であったはず。極限まで薄められた安手のニヒ リズムの横行は、私の個人的感覚としては許しがたい(←すみません、つい個 人的感情に流れました)。
★50 代後半~ 60 代前半ぐらいの女性

「安倍サン以外にはいない、って言われるしィ」 (多少イライラしながら)

「はぁ。自民党って、そんな人材不足なんですかね ぇ。あんなに大勢の人がいるのに?」

「そうねぇ……でもねぇ……わからないしィ」
もうええわ。10 代からせいぜい 20 代前半までなら、「わからないしィ」もいいでしょう。でもさぁ、半世紀も生きてきて、「わかんない」ってのはない やろ、という言葉をあやうく呑み込んだ。
★20 歳前後の女性

仲間からチラシを受け取ったのを見て近づいたのだが……。
「安倍首相は憲法を変えたいと言ってますよね? どう思われます? もし反 対だと思われたら、署名していただけません?」と声をかけても、鈍い表情で 「……わからない」。

「じゃあ……安倍首相のこと、どんなふうに感じてます?」

「う~ん。……いいところも悪いところもあるのかなぁ、って」

「なーるほど! どんなところが、いいなって思われるのかなぁ」

「……日本のこと、一生懸命考えてくれてるのかなぁって……」
一瞬、絶句。いやいや、ここで腰を抜かしてはいけません。

「ご両親とかも、そんなふうにおっしゃってるのかしらん?」
いいえ──と、ここだけは激しく首を振る。

「親は反対のこと言ってます」 「安倍首相はよくない、とか?」
「……はい」

「でも、あなたの意見は違うんだ。お友達とかと話してて、安倍首相にもいい ところがあると思った?」
「……友達とは……そういう話、しません……」

「そっか。じゃあテレビ観たり新聞読んだりして、自分でそんなふうに判断し たのよね」
「……はい……」
「そっか、そっか。自分で情報集めるのはスゴイよね」
で、「何処からの情報?」と聞きたかったのだが、信号が変わって逃げられてしまった。
★男子大学生 2 人組

彼らも仲間からチラシは受け取っていたのだけれど……。追いかけていくと、「興味ないっス」と一刀両断。むむむ、ここでひるんでなるものか。おばちゃ んパワー全開でつきまとう(特に私は、名にし負う大阪のオバチャンですからね)。
「興味ないのは自由だけどさ。あなたたち、選挙は行く?」

「行きまっス」と、ふたり口をそろえる。

「じゃあ、投票するときは一応考えるよねっ。何処の党がいいかなとかさ」 「ん……まぁ」 「ここの党が自分の考えに近いかなとか、ここはイヤだとか、比べてみるよね ぇ」

「うーーーん。その時の雰囲気、かなぁ」

はぁ。あっ、そ。さすがの(ストライク・ゾーンの広い)私も疲れた。勝手にしなさい。
毎週毎週、若い人と話すと「からかわれている感」が強いのは私の被害妄想 かなあ。
もうひとつ、これも錯覚かも知れないが、今の中学・高校生(場合によって は大学生)は「幼い」という感じがして仕方ない。「昔は」とか「私の若い頃 は」などとシタリ顔に言うようになれば人間オシマイだと──それは重々わか っているつもりなのだが、それでもなお私は呟く。ちょっと幼すぎないか?と。
10 代前半の頃、何もわかっていないなりに背伸びして本を読みあさり、い っぱしのことを言おうとした。今から考えれば赤面するような背伸びなのだけれど、それでも世界に対する激しい感情の揺れ動きとモノゴトを突き詰めたいという(未熟であっても強い)欲求だけは真実で、それがあるからこの年まで ウロウロ・オロオロしながらも生きてこれたのだとも思う。10 代の頃から冷 めていて、君たちはこの先どんなふうに生きていくのか。

 

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