週刊スガモ 2018年6月9日号

細かい用事をすませて(夜にまとめて仕事をする夜行性動物なのです)、深夜になってから書きました。だんだんマンネリ化してきた気も……スミマセン。 最近はなるべく「署名しない人」の声を拾うようにしているのですが、9 日は あまりきちんと聞けなくて残念でありました。

〈署名してくれた人との対話〉

★40 歳前後夫婦と、子ども 2 人(上の子は小学校低学年ぐらい、下の子は 4 ~ 6 歳かな)の家族連れ
チラシを受け取り、すぐさま夫婦で署名してくれた。住所は長野の佐久。夫 のお母さんが巣鴨に住んでおり、時々週末を利用して遊びに来るのだという。 父親が署名しているところを見て、子供たちが「なになに〜」と興味深げに両親と私の顔を交互に見る。 「平和がいいね、という話だよ」という父親の言葉に、上の子どもが「あ、う ちのおばあちゃんがいつも言ってる!」と嬉しそうな声を上げる。
思わず「わあ、いいおばあちゃんだ! 大切にしてあげないとね」と子ども たちと微笑み交わす。
一緒に交差点を渡りながら、父親と少し会話した(母親は下の子どもの面倒 をみるのに忙しく、会話は出来ず)。

「お母さん、よくそういう──憲法などの話をされてるんですか」
「ええ」
お母さんは戦争末期の生まれで、74 歳。アジア太平洋戦争時代のリアルな ことはむろん覚えていないが、身内に戦争経験者が何人もおり、現憲法の価値 を聞かされて育ったという。そしてその記憶を、息子たちに語り継いだ。

「今の憲法、どんなところが特に大切だと思われます?」

「やはり戦争放棄というところですね。子どもがいると、そういうことがとて も大事だと思うんですよ」

頑張ってください、と励まされて別れた。
★ 50 代後半~ 60 歳前後の女性 2 人連れ

やっぱり安倍総理はねぇ、絶対ダメよねぇ、と口々に言いながら署名。
「自公政権はイヤだけど、今すぐひっくり返るわけじゃない。だから自民党で も仕方ないかなって思うの。でももう、もっとマシな人に総理大臣になって欲 しいのよ」
これって、国民のかなりの部分の感覚かも知れない。
★70 代前半〜半ばぐらい男性

仲間からチラシを受け取ったが、署名を求めると「お金、払うの?」 寄付を求められているように思ったらしい。
「とんでもない。1 円もいりません。こちらからもあげませんけど」

「署名したら、後でいろいろ印刷物とか来たりしない?」

「しません。来たらここに文句言いに来てくださいな」
……というやりとりの後、署名してくれた。街頭の署名活動に対して、「う っかり署名したら(何かを)しつこく勧誘される」と思っている人は少なくな い。そういう話ではないんですよ、とアピールしていくことも必要かな。
★70 歳前後の男性
チラシを渡して安倍政権に対する意見を聞くと、「安倍? ああもう、あれは 1 日も早く辞めて欲しいよ」と吐き捨てるように言う。

「オレから言わせると、安倍は頭がおかしいよ。麻生もね。2 人とも虚言癖。 病院行ったほうがいいレベル」
どちらかと言えば自民党支持という感じの御仁だが、安倍政権だけは完全に ノウであるという。

「福田首相とかまでは、まだまともだった。今の自民党は何だよもう。人がいないわけはないと思うけど、表に出てこないんだよな。みーんな安倍に忠誠誓 ってる感じで。早く辞めさせないと、とんでもないことになる」

「少なくとも、そういう変な総理のもとでの改憲ダメということで、署名集め ているんですよ」
そうかそうか、と言って署名してくださいました。
☆ほかに、サッと署名してサッと立ち去った人など

〈署名してくれなかった人との対話〉

★男子大学生
某大学の少林寺拳法同好会(少林寺拳法部、だったかも)の 4 人。近くで集まりがあるそうで、幟を立てて駅前に立っていた。
その 1 人が何か用があったらしく列を離れていた。戻ってきた交差点で目が合った瞬間、「ご苦労さまです」と声かけてくれた(何とまぁ礼儀正しい)。 実を言うと私は学生服を見ると反射的に腰が引けるのだが(制服というもの が嫌いで、学生時代に喫茶店でバイトした時以外は着たことがないのです。特に学生服はダメ)、それはそれ、これはこれ。チラシを渡し、軽い感じで話しかけてみた。
「ね、安倍政権……と言うか、今の政治ってどう思う? いろいろ考えること あるでしょう? あ、いやネ、安倍政権を評価するならするで、それも個人の意見だと思うん だ。率直な意見を聞きたいなぁ……」と、やや上目遣いで笑ってみせる。
学生さん、ちょっと困った顔で「うちの大学はバカばっかりですから」。

「バカって、やだなぁ。そんなことないでしょ」

「いえ、バカなんですよ。むろん僕もですけど」
うんうん、と頷いて先を促す。

「目先のことしか考えてないんですよ」

「目先のこと……就職とか、彼女のこととか、今夜何を食べようとか? でも さぁ、政治って意外と私達とかあなた達とかの生活と関係あるのよねぇ」
変なババアだなぁ、という感じで学生さんクスッと笑う。

「そうかもですね。……でも今ひとつ実感がなくて。もう少し身近なものなんだと、アピールしてほしいなあと思います」
政党や政治家のほうから、積極的に「身近な問題」として話して欲しいとい うことらしい。

「えっと……。うちの大学の学生とか、選挙にも行かないんですよね」

「ありゃま。もったいないよねぇ」

「はい。棄権したら罰金とるとか、そんなことも考えていいんじゃないかなっ て思います」
ここで他の 3 人が並んでいるところに到着し、会話はおしまい。彼が与党支 持か野党支持か、改憲に賛成か反対かまでは聞けなかったけれど、生真面目に 対応してくれただけでもちょっぴり嬉しい。
★95 歳になるという女性

チラシを受け取ってもらったので、言葉をかわす。正直なところ、言ってることがとっちらかって、よくわからなかったのだが……。 「主人が生きていた頃は橋本さんの応援してて」(橋本……橋本龍太郎のこと かな。なるほど。昔からの自民党支持者であるらしい)

「テレビ観てるといろいろ言われているけど、私みたいなオバアサンには、ほ んとのことわからない。罠かなぁとも思うし」

「安倍首相が罠にかけられている?」

「そうねぇ。……わからないけど、足を引っ張られてるのかなぁとか」

「そういうのもあるかも知れませんね。……でもですね。ごく素朴に常識的に 考えて、ヘンだなぁと思われることもあるのでは?」

「ヘンかも知れないけど……安倍総理以外には人材いないみたいでしょ」

「うーん、そうかしらん。そんなに自民党が人材不足なら、私は近い将来が不安なんですぅ。

安倍さんだって、この後 10 年も 20 年も総理大臣やるわけじゃ ないしぃ」
それはまぁそうよねぇ、とオバアサン頷く。

5 分ぐらい話をしたのだが、こ ちらの問いかけに「そうよね」と頷きながらも、「わからないしぃ」という言 葉がお題目のように付け加えられる。
自分が何をしているのか、だんだんわからなくなる徒労感。あーしんど。
★14歳、中学2年の男子

チラシを受け取り、「安倍総理、好きじゃないです」
「そっか。なぜ好きじゃないのかな」
「押しつけてくるみたいだから」

「うんうん。どんなところが押しつけだと思う」という問いに対して、「NHK から国民を守れっていう党がいい」といささか(かなり?)ズレた返答。

「ぶっ潰せばいいんですよ」と言い捨てて、自転車で走り去った。
破壊欲求にかられているのか?……何となく、よくわからない子だった。
★70 代に見える女性

仲間からチラシ受け取ったが、署名を求めるとニベもなく「興味ないの」
「は。改憲とか、安倍政権のこととか興味ない?」

「そういうの、どうでもいいの」
「はぁ」
……と口を開けた私に対して、彼女は薄ら笑いを浮かべて「私、自分本位だ から」と言い捨てた。チラシ……斜め読みさえしないんだろうな。ゴミ箱に放 り込むんだろうな。
興味がない・関心がないという立場を、私は一概に否定しない。「紅旗征戎 は我がことにあらず」を通せるならば……我がことにあらずと言い、それゆえに全てを(命でさえも)失うことも辞さないのであれば、それはそれでOK。 でも「関心ない」と切り捨てる人の多くは、そうではないと思う。自分に火の粉が降りかからない限りにおいて、お澄まししている人びと、呪われてあれ( あっ。こんなこと言っちゃいけないですね)。
★ 20 歳前後の女性

(一見して学生さんだと思ったが、聞けば高校を出て働い ている人だという)
交差点で信号待ちをしているところにチラシを差し出したのだが、拒否され た。で、「街角でいろいろチラシを渡されるのってイヤなのかしら」と聞いてみる。
答えは「……はい」


たとえ「ファミレスのランチ割引チラシ」だろうと「美容院の割引チラシ」 だろうと、受け取らないという。そうやって社会と野放図に関わりを持つこと に対して、どうしても違和感があるらしい。
その感覚は、少しだけれど私もわかる気がする。世の中には内向的で怖がり屋で、他者との(ごく微かではあっても)コミュニケーションを重荷に感じる人間もいる。自己を開示し主張することがアプリオリに正しいことと認識されていくなかで、彼らはますます居所を失っていく。彼らにも寄り添えない限り、 輝かしい未来などは嘘っぱちだ。
★仲間からチラシを受け取りながらも、署名簿持って近づくと顔を背け、「わ かりません」と言って足早に去って行った人達も数人。
そういう時、私は瞬間的にではあれ激しい徒労感に絡め取られる。 チラシを受け取る人々の多くは「なにげなく(あるいは拒否するのも悪い気が して)受け取っただけ」であり、そのチラシはほとんど読まれずにゴミ箱に直 行する。──ということは、重々わかっている。それでもなお、チラシを配る というのは重要な街宣活動のひとつであることもわかっているつもりだ。
だが……わかっていても、それでもなお。それでもなお、である。チラシを 配るなどの活動が、自己満足ではないのかという(自らへの問いかけとしての) 怖さを私は拭い得ない。何か、もっと広汎にアピールできて、広汎な思考と感覚を共有できる方法はないものか。うーーーーん、難しいですけどね。

カテゴリー: 週刊スガモ パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中