『週刊スガモ』2019年3月16日版

『週刊スガモ』(by野木)3月16日版

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またしてもかなり遅れたご報告です。春眠暁を覚えず(でもないか)。何だか、サボリ癖がついたような気がしないでもありません……。とりあえず、バタバタと。簡単なメモ書きを頼りに記憶を呼び起こしながら書きますが、やはりかなりの部分忘れているところも(泣)。

★80代後半ぐらいの女性
シニア用ショッピングカートを押して、ちょっとおぼつかない足取りで歩いていた女性。チラシは受け取ってくれたが、「こんなことやっても、どうせダメよ」と言う。
安倍政権にはウンザリしているけれど、「今までだって、それこそもう何十年も、どんなに反対しても上の方がやろうと思うことは通ってきたじゃない」。もう諦めちゃいましたよ……と言いたげな表情である。

9条改憲はよくないと思っているそうだ。「私は戦争を経験していますからね」。出身は広島。原爆の直接の被害を受ける所には住んでいなかったが、当時の悲惨な状況は記憶に残っている。
それでも「庶民がいくら頑張っても、結局のところ何の力にもならない」と、ずっと感じているという。もしかすると若い頃は、何か社会運動に携わった経験でもあるのだろうか。で……負け続けているうちにどんどん年をとり、身体も不自由になってきて、今では自分の日々の生活を維持するのに精一杯、なのかな(と、これは私の想像ですが)。
「そうかなぁ。そうでもないと思いますよ。反対なものは反対とキッチリ言っていくことで、少しでもイヤーな流れは変えられると思います」と言ってみたけれども、彼女は曖昧に微笑むばかり。
「そう。……まぁ頑張って」と会釈して、ゆっくりと去って行った。

★70歳前後に見える男性
仲間からチラシを受け取って読んでいた人なのだが、近づいて話しかけると「私は9条改憲、賛成ですよ」と。
日本も明確な形で軍隊を持つべき。自衛隊は既にかなりの軍事力を持つ組織であるにもかかわらず、これを何となく曖昧なままで置いておくのはよくない、という意見である。
「でも、安倍首相は自らが提示した改憲案について、『自衛隊を明記するだけ』と言ってますよね?」

「あれはねえ……」と苦笑を漏らす。「まやかし(という言葉を使った)ですね。私はあまり賛成できないのですが」
「では、安倍首相の改憲案には反対だと?」
いや……と、彼は首をひねった。「今の段階では、やむを得ないかと思います。国軍の設置ということになると、どうしても腰が引ける人が多いですからね。まずは自衛隊の名前を憲法に書き込んで、徐々に雰囲気を変えていくのが上策なんだろうなと」

巣鴨駅頭で(機会を見つけて他の所でも)いろいろな人たちと話してしているが、改憲賛成の人はたいていの場合、「敵!」意識を露わにしてくる。時には高飛車に、時には嘲笑するような言葉や目つきで対して来るのだが、この男性は気持ち悪いぐらいgentlyだった。言葉遣いにも声のトーンにもいささかも感情的なところはなく、表情も終始穏やかに、「あなたのおっしゃりたいことはわかりますよ」ふうな態度を崩さずに、それでいて言いたいことは言った。実は、こういう人が(私の感覚では)一番怖い。

そう言えば先週も、「9条改憲賛成。軍隊を持つべき」というオジサンと話をしたっけか。彼は「公明党がうるさいから、まずは自衛隊明記というところから初めて徐々に……」という意見だった。
この男性は「軍隊となると嫌がる人が多いから」という意見で、まぁ基本的には似たようなもの。つまるところ、「戦争とか軍隊などに対してはアレルギーを持つ手合いが多いから、うまくいなしたりあやしたりして、少しずつ流れを変えていこう」というわけだ。

先週、確信犯的改憲賛成派との会話をご紹介した時、読んでくださった方からその男性に対する怒りの声を聞かせていただいた。私も、確信的改憲賛成派に対してははらわたが煮えくり返りそうになる。
しかし……である。怒っていても、物事は前に進まない。向こうが何を考えているかを知り、どうやればその「手口」を暴けるか、あるいは裏を掻けるかを、かなり真面目に考えなければならない時期にきているような気が……私はするんですよね。敵を知り、己を知らば百戦危うからず……なぁんちゃって。
チラシを受け取り、「前にもどこかで署名したかも……」と言いながら、揃って署名してくれる。姉さんは30歳ちょっと、妹さんはまだ20代だとか。話しかけると、姉さんのほうが主に相手をしてくれた。
9条改憲には絶対に反対だし、安倍政権に対しても「最低だと思っている」そうだ。
「何処がよくないと思われます?」と聞くと、「何もかも全部」とピシャリ。

「第一次安倍政権……?……かしら? あの時から嫌なの」
私は政経学部ですから、政治には関心があるんです、と続ける。政経学部という学部を置く大学は、さほど多くない。代表は早稲田大学。ほかに明治大学とか東海大学など一部の私学に限られているのだけれど、「何処の大学ですか」などと聞く筋合いもないので黙って頷く。
「でも、何となく『安倍さんしかいない』と思っている人は多いですよねえ」とため息をついてみせると、「どうしようもないわね。情報弱者ですよ。ちゃんとした情報を持っていないのよ」と彼女は鼻で嗤った。「その気になれば、正しい情報はいくらでも得られるのに。新聞読んだり、ネットで調べたり」。

「でもねえ」と、私は少し逆らった。「新聞の情報には限りがありますし、テレビは腰が引けているようですし、SNSだって……結局のところ、自分が知りたい情報を集める手段になっているでしょう? 私の知り合いにも盛んにフェイスブックやツイッターを使っている人は多いですけど、人によっては料理や美容の情報ばかり集めてますし。いわゆるネット右翼の情報ばかりを集めて、骨がらみになっちゃう人もいるでしょうし」

「だーかーらー」と、彼女は教え諭すような口調になった。「情報の取捨選択が大事なんですよね」
急いでいるから、と会釈して去って行った姉妹を見送りながら、何となく心の奥に澱がたまったような気分になった。
これは……非難囂々であるかも知れぬことを百も承知で言うのだけれど、何となく「上から目線」を感じてしまったのだ。快く署名してくれた姉妹に対して、本当に失礼なことではあるけれども。
愚かな大衆、情報弱者。……私は、そう言って嘲笑される側の人間だから。まだ10代のいとけない(!きゃはは)少女だった頃、私は徹頭徹尾「弱者」の側に立とうと決意した。立場が弱ければ弱いほど、情報から遮断され、上から押しつけられる価値観や常識(という名の手枷足枷)に絡め取られる。

★続けて余談めかして
私は幼い頃に父親を亡くし、世間の顔色をうかがいながら必死で働き続けた母親を目の当たりにし、やっとのことで大学を出る頃にはすさまじい就職差別に遭った。だから上からの重圧に怯え、その日その日の生活に追われ、踏みつけられながらせめて明日の一日が安泰でありますようにと願う人々の感情が痛いほどわかる。

OLDsの仲間は、私から見ればエリートでありインテリでもある。おそらく真っ向から正論を述べて……むろんそれによっていろいろと不利益を被ったり嫌な思いもしたのだろうけれど、生活の危機に直面するほどには至っていなかったのではあるまいか。
そういう人たちと共に活動することに対して、多少、腰が引ける思いもないではない。「ええんかいな」としばしば思う。
そして何よりも。自分はエリートでもインテリでもない、世の中の風に翻弄される大衆の一人であると心を決めて生きてきたがゆえに「上から目線」に過剰なほど反応してしまう私は、このグループのなかで異質な存在であるかも知れません……けど。
でも、私はこの世を去る時まで遮断された人たちと共に歩きたいし、遮断されたゆえに無明長夜に踏み迷う人たちこそを同朋として抱きしめたい……んですよね(と、思わず真面目になってしまいました。恥)。

「上から目線」って、本人は気づかないと思うんですよ。真面目に、一生懸命に主張しているだけだから。ただ、「踏まれた経験」のある人間は、その微かなにおいを感じ取ってしまう。その「におい」をいかに払拭するかということも、大きな課題ではないかと私は思っています。
私自身、大した知識も経験もないのに、長く生きて働いてきただけのことを何か大層なもののように錯覚して、えらそうに説教垂れたりしますしね。ほんともう、恥ずかしい限りで。

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