『週刊スガモ』2019年12月21日版

『週刊スガモ』(by野木)12月21日版

今年ももう残り僅か。まとまったことは何も出来ずにまた年が暮れそうでナサケナイ限りですが、そこはもう開き直って。先週は知人の葬儀で巣鴨行動を欠席しました。若い頃に世話になった先輩です。健康に対する留意は人一倍だし、実際に元気溌剌で行動力も知的好奇心も旺盛な人。不摂生な生活と縁の切れない私と会うたびに「おまえさん、絶対に平均寿命まで行かないぞ」と脅かされていたのに、本人がパッタリ逝くとは。ほんとわからないものです。……と、例によっての余談はこのぐらいにして。

★改憲NOの人と出会うとホッとはするけれど

二人連れの女性がチラシを受け取ってくれた。一人が車イスに乗り、もう一人がそれを押すという組み合わせ。年齢的に大差なく見えるので(どちらもおそらく70歳代)、友人同士か、それとも姉妹かな。

交差点を渡るのにくっついて行って「改憲」や「安倍政権」について意見を求めると、「絶対にダメよ、改憲なんて!」と口をそろえる。

9条を変えたら戦争に巻き込まれるおそれがある、親たちから戦争の話をいろいろ聞いているから平和憲法は大切にしたい……など口々に話すのを聞きながら歩いた。署名は別の所ですませているそうでありました。

最近、ほんと少しずつ少しずつ、署名済みの人が増えているのを実感はする。「改憲は絶対NO」の人は──少なくとも東京では、署名ずみの人がかなり多いのではないかな。ただ、地方に行くと別かも知れない。先日署名してくれた人はたまたま地方から上京してきたそうで、「うちのほうではこういう署名、やってないんだよね」と言っておられたから。

ともあれ改憲NOの人に会うとホッとするのだが、エールを交換していても仕方ない……わけではないけれど……私としてはなるべく「関心の薄い人」や「まあ改憲してもいいんじゃない?」という人達と言葉をかわしたい。ま、「安倍政権絶対支持! 安倍改憲絶対賛成!」の人と話すのは、あまり嬉しくないけれど(そういう人は話にも乗ってこないかも)。

 

★「僕は改憲派です」

中年女性と若い男性の二人連れ。若い子のほうがチラシを受け取ってくれたので、意見を聞いてみると……。

「僕は改憲賛成です」

「そうなんだぁ。どういうところを変えた方がいいと思ってます?」

そんな質問をされるとは、思っていなかったのかも知れない。ちょっと驚いたような表情でこちらをまじまじと見る。

「改憲派の人の意見も、私はきっちりと聞きたいと思っているので。教えてくれますか」と言うと、「ハイ」と返事。いわゆるネトウヨ的な若者ではない証拠に立ち止まって私とはっきり目を合わせた。

「独立国家なら、軍隊を持つのが当たり前だと思うんです」

「なるほど。……じゃあ、国軍を創設したほうがいいと思っている?」

「国軍でも自衛隊でも、名前はどうでもいいんです。国を防衛するための自前の組織を持つべきだと僕は思っているんで」

うんうん、と私が頷くのに促されて、彼は息せき切ったように続けた。

「改憲反対って人に聞くと、米軍が守ってくれるから大丈夫なんて言うんですよね」

へえええ……そういう「反対派」もいるんだ、と珍しく思ったが、まあ黙って聞き続ける。

「でもアメリカが日本を守ってくれるなんて、お伽話だと思うんです。自国の損になると思えば、アメリカは日本なんかさっさと見捨てますよ」

そうだよね、と私は胸の前で軽く手を打った。「どんな国だって、自国ファーストですものね。それが当たり前ですよね」

 

★懐かしや反米愛国

彼はまた、え……という顔をした。私の言葉は、彼の見聞きしている範囲の言説とはややズレているらしい。

「ともかくですね」と慌てたように続ける。「だから日本も独自の軍備を整えておかないと、周囲の国からのサンドバック状態になると思うんです」

なるほどなるほど。

それから彼は1~2分、独自の軍備を整える必要性について語った。日米地位協定などトンデモナイし、日本に米軍基地があるのも認められない。米軍にはお引き取り願い、アメリカの属国状態から脱して独立し、自前で武装もすべきという立場。最近は少なくなってきた「反米愛国」の若者でありました。

年齢を聞くと18歳。高校3年生だそうです。

★「反対の理由をちゃんと知りたい」

彼の言葉が途切れるのを見計らって、「あなたはさっき、改憲反対の人は米軍が守ってくれるという幻想を持ってる、みたいに言ってらしたけどね。確かにそういう人もおられるかも知れないけど、反対派にもいろいろな意見があるんだよ」とこちらから言ってみる。「たとえば、憲法は変えてもいいかも知れないけど、ともかく今の安倍政権には触って欲しくない、あんな無茶苦茶な政権に憲法に触れる資格はない、という人もおられるし」

はあ、そうですかと彼は曖昧に頷く。

「だからなぜ反対しているのか、いろんな意見は聞いて欲しい。私たちも、賛成派の意見は聞きます」

ええ、と彼はまた頷いた。「ですから知りたいと思って、これ(←チラシ)も受け取りました」

結構結構。

「読んですぐに納得してくれとは言わないけど、一緒に考えてほしいとは思うんだ」

★「無関心はよくない」

「今、改憲の国民投票なんかが実施されたら、どうなると思う?」と私は続けた。「何かよくわからないけど、テレビで有名なタレントさんが賛成だと言ってるからとか、自分は自民党支持だから賛成した方がいいんだろうとか、あるいはご近所さんに『賛成してね』と言われたからとか、……そういう適当な感じで賛成する人もいると思うんだよね。でも賛成にしろ反対にしろ、よくわからないままで……っていうのは将来に禍根を残すじゃない」

ほら、イギリスのEU離脱問題でもさ、などと喋ってみる。「国民投票の後で、『EUってそもそも何だっけ?』と言ったり、『離脱することの意味をよく知らなかった』みたいな人達が輩出したという話があるでしょう? 国論を二分するような問題については、国民の全部──とまでは言わないけど、大多数がよくよく中身を理解して、よく考えて、議論もしないと。漠然とした雰囲気で走るのは、とても危険だと思わない?」

ここで、若者の斜め後ろに立っていた女性が(彼女はそれまで、軽く頷きながら私たちの会話を聞いていたのだけれど)「そうですね」と声を出した。ちなみに姿のいい女性なので若く見えるけれど、多分、40代半ば。お母さんだと思う。それとも叔母さんか誰かかな。

釣られたように、若者も「ええ」と返事。「無関心なままでいるのは、よくないと思います」

関心を持って、その結果として「反米愛国→自主独立→自前で軍備」に走られるのもウウーンなんだけれど、聞く耳持たないよりはずっといいか。

 

★「安倍政権は最低」

安倍政権についても聞いてみると、「最低です」とキッパリ。

「特にどういうところがまずい?」

「一番ダメなのは外交ですかね。何ひとつ成果なんか上げてない」

「でもここでいろんな人に話聞くと、安倍さんは外交頑張っているから支持する、という人も多いよ? トランプ大統領とあれだけ仲良くできるのは安倍さんだけだ、とか」

ケッ、とは言わなかったけれど、そう言いたげな表情を彼は見せた。「ゴルフやって、いろいろ買わされてカモにされてるだけじゃないですか」

おお、さすが反米愛国。

「そういう首相がやりたがってる改憲、信用できる?」

うーん、と彼はちょっと困ったような顔をした。

この時、お母さんらしい女性が後ろからちょっと囁いた。時間がどう、とか言っている。どうやら何か予定があるようで、話はここまででおしまいになった。

女性がニッコリ笑ってくれ、若者の方もやや仏頂面ではあるが「では」と一応会釈。

「また通りかかったら声かけて。もっと話をしてみたい」と言っておいた。嫌がるふうではなかったので、再会が楽しみでありまする。

  • 追記。ここで紹介した若者のような人に対して、「武器で身を守ろうとする無意味さ」「平和憲法の意義」などについて話すべきだ、という意見もあるかも知れません。その方がよいのかも知れませんが、立ち話でそれをやっていると、話がとっちらかってしまう。私は(それが正しいかどうかはわかりませんが)あくまでも相手の関心に合わせて話す、あるいは相手が関心を持ちそうなところから話す、という姿勢でいます。ともかく改憲を止める、もっと言えば発議を止めるのが焦眉の急だと思っているので。
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